立ち直るための儀式。

トイレの便器にゲーゲー吐いた。
ゴミ箱に捨てられなかった愛憎が、体を逆流して吐瀉となる。
喉が焼け付くようにヒリヒリする。
丸めて捨てられたらどんなにどんなに楽だっただろう。
食べるのはあんなにも簡単で楽しいものなのに、吐くのはどうしてこうも辛いのか。
同じ食道の移動だというのに違いすぎる。
ようやく落ち着き、便器の横に座り込む。
乾いた喉が水を欲して鳴る。
狭い中天井を見上げると、少しだけ気分が和らいだ。
くしゃくしゃに丸められたティッシュくらいには役に立てたら良かったのに。
捨て去ることしかできない己の無力さに打ちひしがれる。
それでも、腹が減るから現金なものだ。
そうかそうか、君はもういないのか。
脱力感と少しだけの安心感を得て、立ち上がった。

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