ダーク

考えるだけ無駄なことはいつも、

何故もこう愚かなのだと罵られその存在こそが不必要なのだと嘲笑う意味もないのにここにいることは塗りつぶした顔から背ける行為と違うのか何度も言われたその”意味”を“意味”を”意味”を”意味”を考えたところでそれこそ”意味”がないことだろうにここ…

人喰らう紅

 暗さに沈んでいくのは心地が良い。 どす黒く染まった空が、やけにきれいに見えた。雲の切れ間もなく真っ暗な夜はどこまでもやさしく包んでくれるようで、サヨリはほっと息をつく。強張った体が弛緩する瞬間が一番危ないのだと言ったのは、ヤヒロだったか。…

感覚を殺した先の衆生

 この世界には、“知らなくてもよいこと”がある。 だから、“聞かなくてもよいこと”もある。  逃げ出そうとした足に斬りつける。とりあえず、足止めが肝心だ。逃げられてしまっては元も子もない。右足だけでは心もとないから、左足も斬ってお…

左様なら

 私は、人形の髪の毛を切っていた。 ジャク、ジャク、ジャク、ジャク、ジャクジャク。 鋏を入れる度に、髪の毛はどんどん短くなる。 ジャク、ジャク、ジャク、ジャク、ジャクジャク。 長かった髪の毛…

呪詛

呪いをかけたわたし以外の人が見えなくなりますようにわたし以外の人のことを考えなくなりますように呪いをうけたおまえしか見えなくなりますようにおまえのことしか考えなくなりますように呪いを繋いだわたしとおまえは誰も見えなくなりますようにわたしとお…

そんな紙一重

お疲れさまと縋る手がむしょうに気持ちが悪かったお前が求めているのは私じゃないだろいつまで私を身代わりにすれば気が済むの聞いたこともない猫なで声で私を呼び慣れない手つきで私を抱く帰って来てくれると信じていた、なんて大嘘をつきお前がいないとダメ…

嗚呼あんなに好きだったのに

打ち捨てられた手足を拾い集め何故このような事態になったのかを考えてみる抱きしめた腕は切られてしまい押しつけたキスはもぎ取られてしまった朝から何も食べていなかったのに出る時は出るものなのね嗚呼あんなに好きだったのに拒絶される虚しさが一番堪える…